キャリアコンサルタント資格は、5年ごとに更新手続きが義務付けられている国家資格です。最近資格を取得した方の中には、「どの講習を選べばよいのか」「更新をスムーズに進められるのか」と不安を抱く方も少なくありません。

本記事では、キャリアコンサルタントの皆さんが安心して更新できるよう、講習の種類と選び方、必要な費用、具体的な手続きの流れをわかりやすく解説します。更新方法を正しく理解し、計画的に準備を進めましょう。

ANAビジネスソリューションでは、企業領域で活躍するキャリアコンサルタント向けの更新講習を提供しています。ANAグループのキャリア相談員向けの研修を更新講習として進化させ、技能検定キャリアコンサルティング職種（1級・2級）を持つANAグループ社員が講師を務めます。演習やワークを豊富に取り入れ、実践的な内容となっているため、更新講習の選択に迷っている方はぜひ参考にしてください。

キャリアコンサルタント資格を維持するためには、厚生労働省が指定する更新講習を合計38時間以上受講し、受講証明書を提出する必要があります。更新講習は「知識講習」と「技能講習」に分かれており、このうち知識講習を8時間以上、技能講習を30時間以上受講することが条件です。

更新講習はさまざまな企業や団体が実施しています。有効期間の5年以内に余裕をもって受講できるよう、早めに情報収集を行い、計画的に申し込みましょう。

知識講習は、労働市場や政策など時代とともに変化する9科目について、最新情報を学ぶことを目的としています。そのため、知識講習は更新直前の1年間に受講することが推奨されています。知識講習で必要な9科目は以下の通りです。

　●　職業能力の開発（リカレント教育を含む）の知識

　●　企業におけるキャリア形成支援の知識

　●　労働市場の知識

　●　労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

　●　学校教育制度及びキャリア教育の知識

　●　メンタルヘルスの知識

　●　中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

　●　個人の多様な特性の知識

　●　その他キャリアコンサルティングを適正に実施するために維持を図ることが必要な知識

厚生労働大臣が指定する知識講習は、上記の9科目をすべて含めた8時間以上の講義です。そのため、1つの講座を受講すれば知識講習の受講要件を満たせます。

技能講習は、自身の活動領域や経験・能力に合わせて、合計30時間以上の講習を受講します。技能講習にはキャリアコンサルティングに関する基本的な技能4科目と、相談過程において必要な技能8科目の合計12科目があります。

各科目について、特定の活動領域や技能レベルに特化した講習が開催されています。5年間で複数の活動領域を学んだり、特定分野でより高度な講習を受けることで、キャリアコンサルタントとしてのスキルアップを目指せます。

なお、下記の活動に関する時間は、10時間を上限として更新要件の30時間に含めることができます。

　●　1級キャリアコンサルティング技能士による実務に関する指導時間

　●　 実務従事の時間（就労のための書類添削や面接対策、メール相談、キャリア研修等は対象外）

厚生労働省のキャリアコンサルタント講習検索サイトでは、各企業・団体が開催する更新講習を横断的に探すことができます。検索条件の「講習区分」や開催地を選択して、自分が参加しやすい地域や希望科目の講習を効率的に見つけましょう。

技能講習は開催数が多く、内容も多彩なので、迷ったときは検索サイトの区分を参考にすると、自分の活動領域や今後の希望に合った講習が選びやすくなります。

知識講習は更新の1年前ごろから探し始めるのが一般的です。1講習で要件を満たせるため、講師やスケジュール、自分の興味を深められるかなども考慮して選びましょう。

キャリアコンサルタントの更新手続き

キャリアコンサルタント資格の更新手続きには、受付期間や必要書類など細かいルールがあります。手続きがスムーズに進むよう、事前に確認しておくことが重要です。

キャリアコンサルタントの更新申請は、有効期間満了日（登録日から5年後）の「90日前から30日前まで」に行う必要があります。有効期間満了直前に対応しようとすると申請期間を逃すことがあるため、余裕を持って早めに申請することをおすすめします。

キャリアコンサルタント資格の更新は、厚生労働大臣が指定するキャリアコンサルタント登録センターWebページから行います。ここでは、5つのステップで手続き方法を解説します。

1.更新に必要な書類を用意

更新手続きに必要な書類は以下の3点です。

　●　更新講習の受講情報・修了証の画像

　●　キャリアコンサルタント登録更新申請書

　●　外字届（氏名に外字を含む方のみ）

技能講習の免除申請をする場合は、下記のいずれかの証明書も準備します。

　●　1級キャリアコンサルティング技能士による実務に関する指導証明書

　●　実務従事に関する証明書

　●　技能検定キャリアコンサルティング職種（1級・2級）の合格証書

2.情報入力・必要書類のアップロード

キャリアコンサルタント登録センターのマイページにアクセスし、個人情報と必要書類画像をアップロードします。個人情報は修正箇所のみ入力し、書類は2MB以内の「png」「jpg」「pdf」形式で登録します。

登録後、「更新申請はこちら」ボタンで申請します。このボタンは申請可能な期間のみ表示されます。

3.更新手数料の支払い

更新手数料は、クレジットカード決済またはコンビニ・ペーパーレス決済のみ対応しています。銀行振込には対応していませんので注意しましょう。

4.審査後、メールで結果が届く

審査期間は4週間程度です。不備があれば登録センターから通知が届くので、速やかに対応します。更新審査が完了すると有効期間が5年間延長されます。

5.登録証の交付

審査終了後、約4週間を目安に簡易書留で登録証が送付されます。登録証の内容に誤りがなければ、古い登録証は自身で廃棄してください。誤りがあれば登録センターに連絡しましょう。

キャリアコンサルタント登録後に技能検定キャリアコンサルティング職種（1級・2級）に合格した場合、合格後5年以内に行う最初のキャリアコンサルタント資格の更新時は、「知識講習」および「技能講習」の両方が免除されます。さらに、技能検定1級保持者は1級取得後のすべての更新時に、技能講習（30時間）が免除となります

ただし、講習が免除となっても、キャリアコンサルタント資格の更新手続き自体は必須です。申請を行わないと資格が失効しますので、必ず申請受付期間中に更新手続きを行いましょう。

キャリアコンサルタントの更新にかかる費用

キャリアコンサルタント登録の更新に必要な費用は、「更新手数料」と「更新講習の受講料」の2つです。それぞれの費用（参考価格の最安値～最高値）は以下の通りです。

　●　更新手数料：8,000円

　●　知識講習：6,000円〜35,000円

　●　技能講習：5,750円〜130,000円

更新講習の受講料と更新手数料を合計すると、一般的に10万円前後となります。技能講習は15,000～30,000円程度のものが多いですが、内容や時間によって幅があります。講習毎に価格や開催地などが異なるので、詳しくは各講習実施機関の情報を確認しましょう。

キャリアコンサルタントの更新Q&A

ここからはキャリアコンサルタント資格の更新に関して、よくある質問をまとめます。

申請期間中に更新手続きを行わなかった場合、資格を失効し、キャリアコンサルタントを名乗ることができなくなります。再度資格を取得したい場合は、新規登録と同様に、所定の講習を受講した上で再登録手続きを行う必要があります。

キャリアコンサルタントの登録者数は、令和7年8月末時点で82,696人です。更新率は「キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会報告書」によれば、令和5年3月末時点で約7割となっています。

まとめ

本記事では、キャリアコンサルタント資格の更新手続きについて、知識講習（8時間以上）と技能講習（30時間以上）の受講が必要なこと、一部に免除要件があること、そして具体的な手続きの流れを解説しました。技能講習は受講時間が長いため、スキルアップや業務に役立てるためにも、計画的に受講することが大切です。

ANAビジネスソリューションでは、企業領域で活躍するキャリアコンサルタント向けの更新講習を提供しています。ANAグループのキャリア相談員向けの研修を更新講習として進化させ、技能検定キャリアコンサルティング職種（1級・2級）を持つANAグループ社員が講師を務めます。演習やワークを豊富に取り入れ、実践的な内容となっているため、更新講習の選択に迷っている方はぜひ参考にしてください。